そんなある日、事件が起きた。

彼が俺をいじめれば彼はいじめから解放してやると、脅されたらしいのだ。

俺がだいたいのいじめを被っていたが、たまに彼がいじめられる時も少なくはなかった。




「…いいよ。やれよ。それでお前が解放されんだろ?」




教室でトイレの水が入ったバケツを震える手で持つ彼に俺は笑顔で言った。




結局、彼は俺に水をかけた。

いじめっ子はこれで解放すると言っていたが本心かはわからない。



友達に裏切られたような感覚に襲われて俺は学校の外では誰かに当たるようになっていた。




警察にも家族にも多くの迷惑をかけた。迷惑をかけたあとは自分が許せなくなって時々自傷もした。でも、やっぱりストレスは溜まる一方でどこかで発散するしかなかった。





いじめなんかに屈したくはないと、学校には通った。

いじめは辛くても耐えようと思った。



それが5月のことだ。





「郁人くん。本当にごめんなさい」




休みの日、彼は俺の家までやってきて水かけたこと、無視をしたことを土下座して誤ってきた。


俺はその前の日に裸の写真を撮られ、脅された直後で…頭が真っ白だった。