人格交換ガチャ

狭間さんのことを本当に愛していたのに。

いなくなるなんて…さ。




「優希から聞いてたわ。あんたは優希の前だと優しいって」



「知ってます。好きだから大事にしたかったんです」



「そう。素敵な愛情ね。私は帰るわ」





一条さんが帰ったあと、僕も帰った。
その日は大雨だった。

にも関わらず僕は傘を持っていなくて…びしょびしょになりながら歩いていた。


歩道橋を歩くと狭間さんが死にたかったんだろうなという思い出が蘇り、心が痛く苦しくなる。





「狭間さん…」



「狭間 優希が死んだのは君のせいだけどね」




僕の後ろから声が聞こえてきて僕は即座に振り返った。


そこには全身真っ黒のレインコートを着た男が突っ立っていて…目は見えないが口はニッコリと笑っていた。



「は？」



「書いてあったろ？君の大事なものだって」



「大事なものってまさか…」