人格交換ガチャ

ああ、警官の僕を知っていると言ったのは一条さんから聞いたからってことか。




「不思議なものね。当たり前だと思ったものが突然いなくなるなんて」



「…はい」





苦いコーヒーが口いっぱいに広がる。




「辛いものね。家族を失うのは」



「親は何をしているんですか？」



「さぁね…。私たちが大人になると同時にみんなして姿を消したわ。どこにいるかは私も優希も知らなかったはずよ」




狭間さんは本当に一人だったんだ。
そんな中、誰も好きになれなくなったんだ。愛して欲しかったんだ。





「狭間さんは愛が…欲しかったんでしょうか…」



「さぁ？どうなのかしらね。死んでしまったものはもうどうしようもないのよね」



「わかっています」



「まさか、久しぶりの再会がこんな状態だなんて思ってもみなかった。姉失格だわ」



「そんなことないですよ。僕の方が情けない。ずっと引き止めていればよかった」