人格交換ガチャ

俺はガチャガチャを蹴ったが、思った以上に固く、僕の足の方が傷んだ。



«そのガチャに狭間 優希を治すことが出来るものも入っている»




俺はつい、その言葉を二度見してしまった。

呑まれてはいけない。

そう感じていたのに手が動く。




«どうやったら彼女を助けられる?具体的にどうすればいい!?»



«君は本当に彼女が“大事”なんだね。そうだな。好きになる力が入った魔法のカプセルがあると言った方が妥当かな?»



«回せば叶うのか?»



«それは君の運次第。だってガチャガチャだから»




俺の大事なもの?
地位か?金か?家族か?友達か?

何にせよ、彼女を助けられるならばそれで構わない。

運だろうがなんだろうが…


『近藤さんっ!』


狭間さんの本当の笑顔を取り戻したい。



呑まれてしまった俺に冷静に物事を判断することは出来ない。一度ヒートアップしてしまえばすぐには、冷却できない。

それが俺という人間だから。



僕は大きく深呼吸するとガチャに手を伸ばした。