人格交換ガチャ

まるでお別れをするかのような言葉に聞こえて俺は手を少し強く握った。

嫌な予感しかしない。





「もう、会うの、やめよ」




「なんで！？俺は狭間さんのこと本当に好きだ！」



「そういう問題じゃないの。私はあなたを好きになれない自分が嫌い。自分が憎くてしょうがない。殺したくてたまらないの」




彼女は無理矢理手を離すと袖を捲った。そこには刃物で切ったかのような切り傷が右手首から腕の間に数え切れないほどあった。



「女性の大事な肌だぞ！？」



「これは…あなたとのあいだでできた傷」



「俺が苦しめているってこと…？」



「あなたのことを本当に好きになりたい。でももう、好きって感情がわからない。あなたに会いたくない気持ちが抑えきれないの！会いたいはずなのに！好きになりたいはずなのに！」




僕が彼女を好きでいることで彼女が自分を嫌いになっていくのは嫌だった。

また、自殺なんてされたくなかったから。



「最後に、キスさせてくれない？」



僕の最後のわがままを彼女は受け入れ、深いキスをした。

終わったあとは彼女は何も言わず、去っていった。