人格交換ガチャ

「なんだよそれ。ていうか、狭間さんの実力だろ?」



「最初は信じなかったよ?でもね、私は知った。私の大事なものをひとつ失ってから」



「大事なものって?」



「何かを愛する気持ち…。服が好きで好きでたまらないからアパレルショップで働き始めてどんなに辛くても辞めたくはなかった。でも服に囲まれても嬉しくなくて…好きだったはずの彼氏も好きじゃなくなって…最近、別れたの」



聞けば聞くほどそれは本当のことなのかと疑いたくなるばかりだが…彼女の表情に嘘偽りはなかった。




「合コンに行くようになったのはそれから。誰かを好きになればこんなの嘘だってわかる。でも、どんなに合コンへ行ってもどんなに男の方に誘われてもなんにも感じないの!何に対しても好きになれないの!」



男たらしって言うのは合コンに行くようになったからってことか…。




「もしかして…あの時、俺とご飯の約束してくれたのって…」



「近藤さんならって思った。本当の私だったらきっと好きになる人。そんな人とご飯を食べたら好きになれるって思った。でも、内心ではダメだって思っていた。だから見かけた時に胸が苦しくなって逃げ出した」



ああ、彼女は苦しんでいたんだ。
それに改めて俺はわかる。

彼女のことが好きなんだって。




「たとえ、狭間さんが俺を好きになってくれなくても構いません。傍に…居させてくれませんか?」