「美咲、勉強してるのか?」



親が家にいない時は僕が美咲の世話をする役だった。ずっと昔からそうだった。

癖みたいなもので今更世話を焼かないということは出来なかった。



「うるさいなぁ。もう私、高校生だよ?物事の判断とか自分で出来る」



「だからといって成績が落ちたら元も子もないだろ?父さんが悲しむぞ」



「もうほんっとうるさい!何でほっておいてくれないのかな!成績が落ちようがなんだろうが私の勝手でしょ!」



「お前のためを思って言ってるのになんで反抗されなきゃいけないんだよ!」



「だからそういうのがムカつくの!この家は学歴重視なの?なに?私の為って!私の為を思うのなら自由にしてよ!」




喧嘩は日常茶飯。
喧嘩しない日なんてないくらいだ。


俺に優しさというものはなかったんだ。






「おーい。この資料手伝ってくれないか?」



「自分でやったらいかがです?僕も自分の資料があるので」




頼まれごとをされても俺は決して手伝わなかった。だってその人が任されたんだからその人がやるべきだと思うから。

それに俺は自分の仕事に集中したかった。