「ムカついたから、とことん情報引き出して、警察に連絡してやりました」

「え」

「捕まるとは思えないけど、リスト入りはするでしょう。あのクソ男、苦しめばいいですよ」


みのりがあげたオレンジを噛みながら、ミヨちゃんはそう言い捨てる。


「通報したの?元彼を」

「はい。もう幻滅。私の青春だったのに。あんなことして欲しくなかった」


あーあ、とため息。
みのりはまばたきもできなかった。

だって、元彼を通報って。
いや、犯罪に手を出している人を通報するのは当たり前か。
でも、何の躊躇もなしで?
好きだった人をカンタンに通報できるミヨちゃんが、みのりには信じられなかった。


「みのりさんも気をつけてくださいね」


投げやりなミヨちゃんの言葉。
みのりは頷くことしかできなかった。

通報。
逮捕。
服役。

頭の中を漢字が駆け巡る。