衣装のままの小野くんはすごくかっこよかった。

ドキドキが止まらない。
おさまれ、心臓…

「小野くん!!」

「え?!な、菜美さん!!
もしかして…道流に会いました?」

「うん、道流の告白も聞いてた。」


小野くんの顔は真っ赤になっていた。

私は座っている小野くんの隣に座った。

「全部聞いてた。

でも、私も伝えに来た。


小野くん、私もあなたが好きです。

桜吹雪の人じゃなくて
王子様でもなくて…

やっと出会えた。


小野翼くん…

あなたが大好きです。」


涙を流しながらだけど、
きっと笑って伝えられたと思う。

ギュッと手を握られた。

「僕もあなたが好きです。

桜吹雪の人ではなく、僕に振り向いてもらえるように頑張ってきました。

合宿の日…
コンビニに現れたのは僕です。
前髪を上げて菜美さんの前に現れると

崩れ落ちる菜美さんを見て
心が苦しくなりました。

菜美さんが好きなのは僕であって
僕ではない。

それから、もっと。もっと努力しようと思いました。

今日、演劇部の教室に入れなかったでしょ?」

「う、うん…」

「それ、僕が頼んだんです。
バレたくなくて…

今日の演劇終わったら、告白しようと思っていたので前髪も上げることを承諾したんです。

でも…
先に菜美さんに言われてしまいました。

やっぱり菜美さんには叶いません」



そう言う小野くんは照れながらも
嬉しそうに笑っていた。


校庭から見える夕日はすごく眩しくて
桜の木々の葉は緑から赤や黄色の紅葉に変わっていた。


文化祭ぎりぎりまで
小野くんと寄り添い、手を繋ぎ


小野くんの飴を舐めながら
その瞬間の幸せを噛み締めていた。


あぁ、今日の飴はすごく、すごく美味しいなぁ…



幸せの味だね。