屋上に行くと扉が少し開いていた。

まずい…


隙間を見ると
小野くんと道流がいた。


「道流、大切な話ってなに?
なんかあったの?」


どうやら、ついさっき2人とも来たばかりだった。

どうしよう…
出て行く?いや、やめよう。

様子を見よう。

バレないようにそーっと隙間を除いた。



「翼…

私はいとこかもしれない。でも、あなたが好き。

翼が大好きです。
だからっ!!…」

道流は堂々としていた。

「待って!
ぼ、僕は道流のことが好きだけど
恋愛としてじゃない…」

「え?…どうして…
ずっと、2人でいたじゃん!!」

「確かに、人と関わらず道流解いた方が楽しかった。

でも、あの頃の僕とは違う!!
演劇部員になっても変わったけどね…」


そう言いかけると
小野くんは桜の花びらが入ったしおりをだした。

「この桜が…
桜吹雪が変えてくれた。」


桜吹雪?…
私は頭の中がぐるぐる回っていた。

「今年の春、桜の木の下にいた。
僕は、桜吹雪が強くて、思わず目を閉じた。
ゆっくり目を開いた

その先に見えたのはね、菜美さんだった」

「それが何?菜美ちゃんがなんなの?!」

「それが僕の初恋なんだ。
教室で隣だと気づいた時にはびっくりした。

菜美さんは努力すること。
優しさ、我慢強さ、恋愛とはな何か全部教えてくれた。

僕は菜美さんに相応しくなりたいと思って、変わろうとした。

菜美さんが言う桜吹雪の人になれるように!!

彼女をたくさん泣かせたと思う。
でも、僕は…

菜美さんが好きなんだ。

だからね…」

「分かったよ。もう、私の完敗…」

そう言い、道流はこっちへ向かってきた。

私は慌てて隠れようとしたが隠れられず…


「うわっ。菜美ちゃん…
何泣いてんの?!

よかったわね。

私はもうこの学校からもいなくなるから。」

「ど、どうして?」

「留学することになったの!
だからさ…

翼をよろしくね」

後ろ向きで私に話しかける道流は
確かに泣いていた。

私は屋上で座り込む小野くんのそばに向かった。