劇が終わり走り出した。

桜吹雪の中にいた人は小野くんだった。
小野くんは気づいてたのかな?
どう思ってるの?



道流と小野くんが会う前に伝えなきゃ!

道流に奪われる恐怖心が一層高くなり
急いで舞台裏に向かった。

後ろで名前を読んでる結子の声も耳に入らず


あなたに会いたい一心で…



「はぁ…はぁ…」

「菜美ちゃん?!どうしたの?」

舞台裏に着くと終わった達成感でみんな盛り上がっていた。


「か、薫…さん…
…小野くんはどこですか?」

深呼吸をしながら薫さんに聞いた。

「翼は…
あれ?どこだろう…」

2人でキョロキョロと探すが見当たらない。

どこ?…

どこ?

小道具の方を見ても、部員のところを見ても見当たらない…

「小野なら屋上だよ。」

「中村先輩!!
お疲れ様です!!」

「なんか、待ち合わせしてるって言ってたよ。」

「あ、ありがとうございます!!」

「え、ちょっとまって!!
菜美ちゃーん!」


薫さんに呼ばれてる。
でも、早くしないと道流に…

やっと、あなたが好きだと心の底から言えるのに。

恋愛は自由かもしれない。

けど、2人の人間を同時に同じくらい愛すことなんて経験不足な私には無理。


でも、初恋一目惚れの人も
ずっとそばにいたいと思った人も


小野くんだった。

嬉しい。嬉しい。



小野くん、お願い…

また、そばに来て…