「で、菜美合宿はどうだったの?」

「いや、楽しかったよ!」

「ちっがう!!
進展はあったのかな?」

結子は注文したクリームソーダをくるくる回しながら、ニヤニヤと私に聞いてきた。

「進展というか…気づいたというか…」

「気付いた?!」

「う、うん…


私、小野くんが好きなんです。」

その瞬間、結子の顔がぱあっと明るくなり
ギュッと手を握られた。

「やっと気付いたかー!!
よかった、よかった!!」

「え、結子分かってたの?」

手を話し、1口飲むと話し始めた。


「菜美は鈍感すぎるんだよ!

中村先輩の話より小野くんの話聞くのが多かった。

中村先輩なんて単なる憧れ!
本当に好きなのは小野くんよ。」

結子がドヤ顔をした。

「で、でもね
桜吹雪の人が…」

「忘れられないんでしょ?

大丈夫よ。好きな人2人でもいいんじゃない?」

「え、いいの?」

「好きでいることは何も罪にならないし、傷つくのは自分だけよ。」

結子の言葉でハッとした。

そーだ、そーだ。


「じゃあ、文化祭が楽しみだねぇ!」

「演劇が上手くいくか緊張もあるけどね」

「でも、ずっと小野くんといれるよ!
よかったじゃん!」

「いや、合宿が終わって普通の学校生活に戻ったら…」

「あ、道流か…」


はぁ……

2人で大きなため息をついた。



学校生活の道流の存在が少しずつストレスになりつつあった。

嫌だなぁ…


それでも、自分の気持ちに気付けた私に結子は褒めてくれた。

それが何より嬉しかった。