1日目の練習も終わり、裏方さんと私は夕飯の支度をし終わりひと段落していた。


「やっと終わったねー」
「みんなそろそろ来るから机に並べようか」

夕飯は大きなテーブルにみんなで並んで食べる。
人数は多いけどとても賑やかになると思った。

「うおーー
いい匂いーー!!」

薫さんが着替えを終え、ロッジに戻ってきた。

「あ、菜美ちゃんも手伝ってくれたんだ!」

「手が空いてたので!」

「菜美ちゃん、悪いんだけどさ
翼のところに持って行ってくんない?夕飯」

「え?小野くんどうしたんですか?」

薫さんは私に近づき、コソコソと話し始めた。
「今日の練習の最後でね、セリフ事態を替えたいってワガママぼっちゃんの中村から頼まれて、ホールで必死にやってるのよー

だから、多分いらないとか言い出す前に
持ってってくれる?

あ、菜美ちゃんも一緒に食べてあげてくれる
?」

「そーいうことなら、全然いいですよ!」


この合宿で小野くんと二人っきりになれることが嬉しかった。

私はルンルンで渡り廊下を歩き
夕飯のカレーを持っていった。



ホールの扉を開くと、小野くんがステージの上で何かを一生懸命書いている。


頑張ってると思い、そっと入ったが
気づかれてしまった。

「え?!菜美さん?!
…この匂いはカレー?」

「薫さんに頼まれてさっ。2人で食べよう」

「はい!もちろんです!」


小野くんは慌てて
ステージの上に散らかってるものを片した。

そんなに急がなくてもと思い、私は小野くんを見つめ、ずっと待っていた。


ーーーーーーー



「お待たせしました!」
私も小野くんも今までのモヤモヤがなくなったかのように、ウキウキしていた。


「小野くん、大変だね…
中村先輩もきついこと言うよねー」

「まぁ、こだわりがあったり少しでも気に入らないと何でも変えてしまうのが、中村先輩ですからね。」

二人でステージの端に座り足を出して、カレーを食べていた。



小野くんと二人っきりがすごく嬉しくて

すごく幸せで

すごく安心で…

私はずっとニコニコしていた。


「菜美さん、ずっと笑ってる…

やっぱり、菜美さんは笑顔の方が…いいですよ!」

「小野くんもだよっ」

そう、私が言ったあと、二人で笑いあった。



合宿はこれからどうなるのか
演劇どうしたら、中村先輩に納得してもらえるのか
たわいのない話…

たくさん2人で話した。



「あれ?!
今何時??」

「うわっ!!もう、9時ですよ!
ミーティングの時間です!!」


気付いたらいつの間にかミーティングの時間になっていた。

私たちは中村先輩の怒りが沸点に達す前に、ロッジに戻ろうと
荷物を持って、ロッジに戻った。


合宿1日目のこの時間は
今まで、小野くんと一緒にいた時間の中で

1番楽しかった。