私はまた混乱しだした。
深いため息をついた。

ガタンっ

「小川さん」

呼ばれて後ろを振り返ると寝ているはずの先輩が起きて座っていた。

私は先輩の方を向き座り直した。


「先輩、なんですか?
寝ないんですか?…」

「小川さんは俺のこと『先輩』って思ってるよね?」

「…はい…」

「やっぱり、君は他の子と違うね。」

私はよく分からず首をかしげた。
なんだろう…

でも、私の中では何かが解決した気がした。
気がしただけ…
だから、分からない。




ーガチャ

「菜美さん!!!」


小野くんが息を切らして作業部屋へ入ってきた。

「小野、やっと来たか…」

「中村先輩、ありがとう…ございます…
はぁ…ハァハァ」


走ったのか、とても疲れていた。


「どうして?…

小野くん、そんなに走ってどうしたの?」

小野くんは脱力するように笑った。

「よかった。菜美さんが走ってどこか行ってしまって心配で…

中村先輩から連絡来て急いで来たんです。


菜美さん、帰りましょ!」

そう言い、小野くんは手を出してくれた。



嬉しくて
また、涙が溢れた。


小野くんが差し出してくれた手にそっと手を乗せた。

「菜美さん、泣かないでください。
"笑ってないと損ですよ"。

って前に菜美さん言ってたでしょ?」


私は小野くんと教室に戻った。