仲良くしようと思い声をかけた。

「道流ちゃんだよね?
改めまして、私小川菜美。よろしくね」

「菜美ちゃんね…ふーん。」

そう言い、道流ちゃんは私を下から上へと見回した。思わず固くなってしまった。

道流ちゃんの後ろに座ってた小野くんがすかさず、止めてくれた。



「道流、菜美さんはとってもいい人だから
そんなジロジロ見ないでよ」

「翼が女の子の名前言ってる…
なんで?この子だけ??」


小野くんが言葉に詰まっていた。

確かにどうして名前呼びなのか気になった。
小川さんでもいいのに…
菜美さんって呼ばれることに慣れていた。


「まぁ、そんなのいいや。
私はなんか菜美ちゃんのこと気に入らない!

ごめんね。私、翼がいれば充分だからさっ」

さすがに腹が立った。
仲良くしようと思ったのに、なんでその態度!!


小野くんに助けを求め、視線を向けたら
小野くんは道流ちゃんに優しく、そんな事言わないでと飴を1つ渡した。



周りから見たら対したことないかもしれない。

自分でも大したことないはず。


いつも隣にいて
いつも優しくて
楽しそうに演劇に夢中で
たくさん教えてくれて

小野くんがくれる飴が特別だと思ってた。





気づいたら廊下を走り、講堂の演劇部の倉庫にいた。





ぽたぽたと涙が溢れた。



分からない。