私は混乱して少し下を向いていた。


「俺は小野のことすごく頼りにしてるんだ。
でも、あいつ人見知り結構するんだよね。

興味があるものとか、好きなものにはまっすぐなのに…

だから、いろんな人に仮部員やってもらっても小野と上手くいかなくて進まなかった。」


中村先輩は小野くんの心配をしてた。


「まぁ、俺が周りに寄ってくる女の子達の中から適当に選んでたからかもしれないけどな

でも…」


中村先輩は言いかけて足を止めて
私の方を向いた。


「ありがとう。君は他の子とは違う。
ちゃんと小野を見てくれる。ありがとう。」


中村先輩のお辞儀は軽くどころか、とても深かった。


「せ、せ、先輩!!
顔上げてください!!
きっと、私席が隣だったからだったと思いますよ。」

「いや、あいつの優しいところに気付いてくれたのは君が初めてだよ。

これからもよろしくね」


そう言い私たちはまた歩き出した。


「小野くんはほんとに優しいです。
気付いたのは私に優しくしてくれたからです。

力不足なところがありますが
よろしくお願いします!!」




夜道にはもう人気もなく街灯しかない。

だから、二人の会話が響いている気がした。



ドキドキしていたのもいつのまにか、どこかに行ってしまった。



ただ、小野くんの話を聞いて
少しドキドキしていた。