教室にはもう既にたくさんの新しいクラスメイトがいた。自分の席につき、隣を見ると
目が隠れるくらい長い前髪で、大人しい男の子だった。

おはようと声をかけると
軽く会釈してくれた。きっと人見知りの子なんだと思った。



だいぶ学校生活に慣れてきた。
私の初恋の人は未だに見つからない。
いつ、また会えるのだろうか。
あれはまぼろしなのだろうか。

私は授業中
たくさん考え、ため息ばかり出てた。


2年に上がるとさらに学ぶことが難しくなる。
それにも、ため息が出る。



「よかったら、どうぞ」
隣の小野くんが飴を1つ手渡してくれた。

「あ、ありがとう」

驚きの行動に戸惑った。
人見知りかなって思ったけど、そこまでじゃないみたい。


小野くんの飴プレゼントは次の日も、次の次の日と続いた。


「今日もよかったら、どうぞ」
「小野くん、なんで毎日飴くれるの?」
「え、そ、それは…」

小野くんが戸惑いつつも答えてくれた。


「菜美さん、最近ため息出てる。
菜美さん、甘いのすきそう…だと思った…から…」


私のこと見ててくれてたんだ。
自分が気付かないところで、気にかけくれる人がいるってことがとっても嬉しかった。


「ありがとう。小野くん、優しいね」
私は小野くんに笑いかけた。



気のせいかもしれないけど
小野くんの口角が上がった気がした。