小野くんに案内されるがまま、私はステージ真正面の席に座った。


最低限必要な小道具が裏方から役者へ渡され
練習が始まろうとしていた。

座ってその光景を見ていると、指示していた中村先輩がステージから降りて
こちらに向かってきた。


来る…



来たっ!!



「小野、その子誰?」
中村先輩は苦笑いしながら聞いた。

「あ、この子は小川菜美さんです。」

そう言い、小野くんは机越しに中村先輩の耳元でヒソヒソと伝えていた。

何だろうと不思議に思ったが
私は、中村先輩が近くにいることに
緊張しまくりだった。


すると、中村先輩が
「あー、なるほどねー」と
笑顔で私を見つめた。


「小川さんね!
小野のサポートお願いね!」



みんなが欲しがる中村先輩の笑顔が私に向かれてる。

夢のようだった。

「はい!!
頑張ります!!!」