発声練習が終わり、演劇の台本の朗読から始まった。 練習中の演劇は今年の10月の文化祭で披露するものらしい。なので、見学者は朗読が終わったら講堂から出なければならない。 私はそれまで、中村先輩をずっと見ることにした。 私のことを好きになるなんて無理な話かもしれないけど、私の存在だけでも知って欲しい。そんな願いをこめて。 じっと、じっと、ずっと 中村先輩を見ていた。