教室に戻るとメレンダはいなくなっていた。
メレンダの机に残した物を回収し、自分の机に戻す。


残ったせんべいをまるごと口に入れ、中でもごもごと差していた。
ジャージの袖に腕を入れ、もぞもぞと着る。


廊下に出て窓から曇る空を見ると、憂鬱になった。
雪が降ってもおかしくないぞ。


「メレンダって好きなやついるんかな?」


「いなさそー。お菓子が好きですとか言いそう」


「告白したらOKくれそうじゃね?頼んだら断らんし」


「確かに。じゃあお前試してみろよ」


「それは無理、彼女いるし!お前がやれよ!やっぱ嘘って言えばいいだけだろ?」


下品な笑い声が響いた。
何故そんな軽い気持ちでメレンダを傷付けるのか、理解できない。


僕は思いを伝えられず悩んでいるというのに、軽い気持ちで試そうとしていた。実行にすればあの二人をずっと軽蔑するだろう。
これまで経験したことがない不快感が、胸に渦巻いていた。


絶対に防がなければいけない。


二人を睨み付け、追い越した。