「そのさ!また来てよね?別に指名とかしなくていいしさ。」

「え?でも…私じゃ場違いだし…」

「いいじゃん。一緒に夜を過ごそうよ。」


君に、二度と逢えないんじゃないかって。


きっと…それじゃあ。


後悔する人生になっちゃうから。


「俺は梓ちゃんとまた話がしたいんだけど。」

「私、と?」


偽りじゃなくて。


本音を伝えたい。


「…考えてみます。」

「うん。」


お金を受け取って、君をドアの傍まで見送った。


風と共に靡く黒髪のロングヘアー。


夜の下で、俺は長く見とれていた。


不思議な感覚に戸惑うばかりだ。


この胸の音は…。


どんな女にも好意を抱く事は、絶対に無かった俺。


偽りで、なんとなく生きてきた人生。


そんな人生が、逆を向いて変わろうとしていた。