偽りの愛言葉

“私も同じ風に感じたかったから…”


一言そう言うだけで、黙りながら膝に俯いたまま。


そんなこと言われたって、全然理解出来ねぇんだけど!


誰と同じ風に感じたいわけ!?


「えっと…どゆこと?」

「私、つい最近に彼氏と別れたんです。」


笑ってんのか、泣いてんのか。


よく分かんないような声で、そう話した。


「へぇ、彼氏居たんだね?」

「馬鹿にしてます…?」

「いや。そんだけ美人だもん。居るに決まってるよね。」

「…絶対に思ってないですよね。」

「へへ、」


本当は、君の魅力に気づいてた気がする。


一目見た時から。


でも。


その魅力に気づかない“フリ”をしてたんだ。


いや、したかった。


そうでもしねぇと俺らしく居れないと思うしな。


この仕事なんて、恋愛する気ゼロの奴らが働いてんだ。


掟を破っちまうぜ。