「ひゃっ」

「くくっ。折角の獲物を逃すわけにはいかないよ!」

あーはっはっは、と大声で笑うメイドさん。

どうしよう・・・・・・お水があれば。そうだ!

「桜、わたし魔法を使ってみるね」

「使えるのか」

「ちょっとだけ」

私の属性は水だから。この火を弱めれば。

「Water」

一番簡単なしょきゅう魔法ってお父様が言ってた。これなら、できるかな。

わたしの手から水が溢れ出て火を襲う。少しだけ消えたけど、それでも敵わない。

「そ、そんなぁ」

ここの庭はホールから離れていない。けど、ホールの中がうるさすぎて気づいてくれないよ。

「けけ。もう諦めな。さあ、良い夢を。Nightmare」

メイドさんか放たれた黒い霧が、火を通り抜けわたしたちを襲おうとした、その時。

「光よ、彼の者を打ち払え。Light shattering!」

凛とした、可愛い声が聞こえた。霧の合間に光が見えたかと思うと、霧はふっと姿を消した。