「あの、すみません」

「はい、なんでしょう」

わたしは、近くにいたメイドさんに聞くことにした。

「この近くにお庭はありますか?」

「お庭でしたら、私がご案内しますよ」

とても親切なメイドさんだ。でも、お忙しいのに悪いかな。

「お忙しいですし、お仕事中に邪魔をしては・・・・・・」

「いえいえ、お客様のお困り事を解決するのも仕事ですから」

メイドさんはわたしの手を繋いで歩き出した。パーティ会場のホールを抜け、外へ出る。

「はい、ここですよ」

意外とすぐについた。メイドさんにお礼を言って、足を踏み入れる。

いろんな花が植えられていた。可愛い。色とりどりで、誰が面倒を見てるんだろう。

「きれい」

ドレスが汚れないように注意しながら、お花を間近で見ようとかがみこんだ。

「なにしてんの」

その時、急に後ろから声がかかった。振り返ってみると、ツインテールにした金髪の女の子が仁王立ち。

「もしかして・・・・・・貴族の方?」

「ああ、そうだけど」

口調がどこか男っぽくて、少しだけ笑ってしまう。

「ここの花、綺麗だよな。誰が世話してるんだろ」

「わたしも思ってたわ」

女の子もわたしの横にかがみこんだ。きれいな子・・・・・・。

「そういえば、名前は?」

名前をまだ聞いていなかったのに気づいて聞いてみる。

「わたしは宮川桜。桜って呼んで」

「わたしは白柳愛梨。わたしも愛梨って呼んでね」

お友達、に、なれたのかな?

「ね、わたしたちってお友達?」

「ん?そうだろ。名前を教えてる時点で」

桜の言葉に、うれしくなった。