後ろから城が呼ぶが、振り向きもせずに走る。


あの夢を完全に信じているワケじゃない。


でも、万が一という可能性だってある。


音が聞こえてくる方向へ走っていると、後ろから城が俺を追い抜いてしまった。


「城!」


「俺だって男だ!」


城は一旦振り向き、そう言った。


その顔はまだ少し青いけれど、目には力強さがあった。


しばらく走ると徐々にチェンソーの音は大きくなり、河川敷から見えていた丘の上についた時、その人物が見えた。


月明かりと街灯に照らされて、青い髪の男子生徒が立っているのが見えた。


あれは冨部先輩だ……。


三宅先輩と2人でタバコを吸っていた所を思い出す。