河で水を汲み、花火用のろうそくに火をつける。


「今年の花火はこれで終わりだな」


「あぁ。もう売り場からも撤去されるしな」


そう言いながら半額になった花火に火を付ける。


バチバチと音を立てながら赤色の炎が上がり、それは緑や青に変化して行った。


その度に周囲の景色も色を変え、まるで火のサングラスをかけている気分になった。


「最後くらい好きな女と花火したかったよな」


城が呟き、俺が「あぁ」と、頷いた。


「え、お前って好きな女いるのか?」


城が驚いたように俺を見る。


「え? いや、いないけど」


慌ててそう言う俺を、城は怪しむような目で見てくる。


「なんだよ、変な目で見るなよ」


「良真お前本当は好きな子いるんだろ」


「い、いないって言ってんだろ!」


俺は城から視線をそらした。


心の中まで読まれてしまいそうで、少し怖い。