そんな変人が何人も存在していてたまるものか。


「この辺にいるのかな……?」


か細く、消え入りそうな風花の声。


俺は思わず風花の手を握りしめていた。


小さくて柔らかい、女の子の手だ。


「そんな心配しなくてもきっと大丈夫だって。風花の家って共働きだっけ? それなら両親が帰って来るまで俺の家で……」


そこまで言って、顔を真っ赤にしている風花を見て言葉を切った。


「そ、そういう意味じゃなくて!!」


慌てて手を離し、ブンブンと左右に首を振る。


いい年頃の男女が一つ屋根の下。


そんないやらしい妄想をしていたワケじゃないんだ!!


「うん、わかってる」


赤い顔のままコクリと頷く風花にホッと胸をなで下ろす。


「と、とにかく。何かあったらすぐに行くから。連絡しろよ?」


「うん、ありがとう良真」


ニコッとほほ笑む風花に俺も頬が緩んだのだった。