石が落ちた場所に小さな女の子が立っていたのだ。


いつからいたんだ?


先まで見通せる一本道の歩道の上、女の子が立っていればもっと前から気が付いていただろう。


女の子はスキップをするように歩き、こちらへ向かってくる。


俺は女の子のために道を開けた。


赤いスカートに、白いブラウス。


長い髪の毛が揺れて、女の子の顔はよく見えない。


でも、見慣れない顔だな。


女の子が俺たちの隣を通り過ぎて行く。


その瞬間、寒気が背中を這い上って来たのだ。


無数の虫が背中を這うような、ゾクゾクとした寒気に身震いをする。


「どうした?」


城に声をかけられ、「いや、今の子って……」と、振り向く。


しかしそこに女の子の姿はなかったのだった……。