最後まで言う前に屋上のドアが開く音が聞こえて来て、俺は口を閉じた。


一体誰だ?


放課後の屋上を愛の告白の場所に選ぶ政党派男子でも現れたのか?


そう思い、貯水槽の影からそっと顔をのぞかせる。


その瞬間、学校内で目立つタイプの男の先輩2人の後ろ姿が見えた。


どうして後ろ姿だけでわかったかと言うと、髪の色が青色と赤色だからだ。


完璧な拘束違反。


先生たちが何度も注意し、何度も染め直させたのにかかわらず、彼ら2人は毎週派手な髪色にして登校してくる。


それはピンクだったり虹色だったり、様々だ。


生徒のみんなを喜ばせるためにやっているのだろうかと、時々思ったりもする。


けれど、2人の人を寄せ付けない威圧的な態度を考えると、そうでもなさそうだ。


とにかくなるべく接点をつくりたくない相手が目の前にいるわけで、俺はそっと貯水槽の陰に隠れなおした。


「富部陽平(トミベ ヨウヘイ)と三宅宏(ミヤケ ヒロム)か」


彼らの話し声を聞いて城が呟く。