「清香ちゃん、良真がノート写し終わるまで持っててくれる?」


「オッケー。池畠君、頑張ってね」


美少女が小悪魔になって微笑んでくる。


くっ……。


2人並んだ光景はそのまま写真に収めてしまいたくなるけれど、今はそんなに嬉しくない。


俺は机の上に開いて置かれたノートを見てため息をはきだした。


正直、腹と背中がくっつきそうなくらいの空腹感だ。


授業はまともに聞いていないというのに、成長期というだけで俺の胃袋はすぐ空っぽになってしまう。


「頑張れよ」


笑いを噛み殺しながら城が言う。


くそっ!


うまそうなウインナーなんて食いやがって。


一瞬城の弁当を奪ってやろうかと思ったが、そんな事すれば風花からまた怒られてしまうと思い、俺は大人しくノートを書き写すことに専念したのだった。