先輩は何度かおばあちゃんに会おうとしていたが、《椿ホ-ム》まで行く決意がつかないままだったのだ。


でも、きっと誰もそれを責めたりはしない。


先輩は白いハンカチで涙をぬぐい、祭壇へと歩いて行った。


その後ろ姿を見送った俺は、初めて先輩の事を好きかも知れないと感じたのだった。