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それから俺と母親は車で病院まで向かっていた。


《椿ホーム》から一番近い病院に搬送されたようだ。


病院の入り口には《椿ホーム》の従業員の人が待ってくれていて、俺たちはすぐに病室へ向かうことができた。


病室につくまでに数人の看護師と触れ違い、慌ただしく出入りしているのが見えた。


嘘だろ、おばあちゃん!


嫌な予感が胸をかすめ、自然と早足になる。


「おばあちゃん!?」


ノックもせずに病室のドアを開けると、白衣を着た先生が額に汗を滲ませて心臓マッサージをしている所だった。


「お義母さん!」


母親が近づいていき、おばあちゃんの手を握る。


俺も逆側の手を握りしめた。


久しぶりに握るおばあちゃんの手はシワシワで、とても頼りなかった。