妖精……!?


俺はおばあちゃんの言葉に目を見開いた。


城が死に前に言っていた。


椿には綺麗な妖精がいると。


まさか、それまでも本当のことだっていうのか?


「この娘を殺しても、椿は喜ばない。お前も二度と椿に顔向けすることができなくなるぞ」


脅すような口調でおばあちゃんが言うと、女の子は肩で数回呼吸を繰り返し、チェンソーを下げた。


「そうだ、それでいい。愛する娘に会いたくなればいつでも私の家に来るがいい」


おばあちゃんの言葉に納得したように女の子は体の向きを変えて歩き出した。


そしてその後ろ姿は途中でタヌキに変わり、タヌキは逃げるように森の奥へと戻って行ったのだった……。