つぶつぶの種に、女子高生が食べていたイチゴアイスを思い出す。


「それ、いつ頃の話?」


「7月半ばくらいじゃなかったかしら? あんた寝てばかりいたからニュースも見てないんでしょ」


図星を付かれてまた苦笑いをする。


「その事件ってさ、犯人まだ捕まってないんだろ?」


「そうねぇ。もう遠くへ逃げちゃってるんじゃない?」


「そうかもしれないけど、でもまだ近くにいるかも」


「なに? まさか自分がやったなんて言わないでしょうね?」


母親の言葉に俺はギョッとして目を見開いた。


女子高生の首をチェンソーで切断するなんて、想像しただけでも腰が抜けてしまう。


「そんなワケないだろ!?」


「ならよかった。あんたみたいなひよっこには無理な芸当だとは思ってたけどね」


それはそれでヒドイ言われ方だ。


「でさ、犯人が近くにいたら危険だから玄関のカギは閉めてていいよ。俺、合鍵持って出るし」


出来上がったチキンカツを皿に盛り付けながら俺は言う。