しまった。


風花には黙っていたのに、つい口が滑ってしまった。


「いや、なんでもない」


「なんなのよ! なんで誤魔化すの!?」


耳をふさいだまま風花が叫ぶ。


今もまだ頭の中で声が聞こえて来ているのだろう。


その表情はつらそうだ。


「おい、音が……」


城が呟く。


「あぁ……」


俺は頷く。


チェンソーの音が急に近くなったのだ。


それは耳障りなほどだが、周囲に人影は見えなかった。


「ちょっと2人とも何か知ってるんでしょう?」


風花が俺の腕を掴んだ……その、瞬間。


ブンッと何かが風を切り、俺の前髪が揺れた。


一瞬の出来事だった。


目の前にいた風花が大きく目を見開き、そしてその顔がグラリと揺れた。


首に一本の赤い線が浮かんできたと同時に、風花の頭がそこから地面に落下した。