「普段の2人なら『気のせいだ』とか『ついに幻聴が聞こえ始めたか』とか言って、その場をなごませてくれるじゃん! でも2人ともそれをしなかった……」


風花の語尾が弱弱しくなって消えていく。


「ご、ごめん風花。何の事だかわからなくて、考え込んじゃったんだ」


俺がそう言うが、風花は信じてくれない。


左右に首をふって「嘘つき」と、小さく呟くと、自室へと戻ってしまったのだった。