「ちょっと、唾飛ばさないでよ汚いなぁ」


「わ、悪い。でも、なんでそれを知ってるんだよ」


しどろもどろになりながら綾菜ちゃんに聞くと、綾菜ちゃんは呆れたように城を見た。


「城君は態度に出過ぎてるから、誰でも気が付くと思うよ?」


「そ、そうなのか?」


俺に向かってそう聞いてくるから、俺は大きく頷いて置いた。


ただ、肝心な風花は気が付いていない様子だけど。


「早く告白しなきゃ、お姉ちゃんをとられちゃうよ?」


「と、取られるって誰に!?」


「さぁ? 案外近くにいる人だったりして」


綾菜ちゃんはそう言い、チラッと俺の方へ視線をやった。


俺はギョッとして綾菜ちゃんを見た。


まさか気が付かれているだなんて思っていなかった。


「案外近く? 誰の事だよ?」


城は1人で不安そうな声を出している。


こいつが鈍感で本当によかったよ。


そんな事をしていると風花がジュースを持ってきてくれて、この会話は中断されたのだった。