澪和は、パッと立ち上がり、女子達のざわめきの方へと向かって行った。
「海空は本当に行動力があるな」
「そこがいい所なんですよね」
澪和のいなくなった部室で御影と桐神は顔を見合わせて微笑みあった。
女子達の歓声の原因となった主は、伝統部の部室の目の前にいた。
癖のあるベージュの髪。
耳の近くにはバッテンのヘアピン。
なんか、佐々木先輩みたい…
思わずそんな事を思ってしまうくらい、出で立ちというか、オーラというか…
そんなものが佐々木にどことなく似ている少年がいたのだ。
歓声の主は、じっと見つめてきている澪和の存在に気がついたのか、じりじりと距離を詰めてきた。