…御影先輩じゃない誰かと私が婚約してるってこと?





考えれば考えるほど頭が痛む。

まったく心当たりが無さすぎて、怖い。





私の意見なんか無視して、勝手にお父さん達が決めてるんだもんね。
いつだってそう…。
だから今回も私が知らない間に、どこの誰かもわからない人とーーー





「…はぁ」



澪和の大きなため息を聞いて、真っ先に西条が反応する。



「海空、なんか悩んでんのか?」


「…えっ」



伝統部の部員達はみんな優しい。

女子から人気な理由も分からなくもない。
(八割型イケメンだからモテるっぽいけど)



「だ、大丈夫ですよっ。…ありがとうございます」



なるべく笑顔で対応したからか、西条はホッとしたような表情を見せた。





……私の婚約者。
何としてでも探し出そう…!!





澪和は静かに闘志を燃やして、そう心に決めた。