「…もう、人を殴らないって決めたんじゃなかったんですか…?」



涙ぐみながら、澪和は西条を見る。

すると西条は、頷き、



「あぁ、決めた。どんなに腹が立っても。大切な女が犯されそうになっても…。でも、我慢できるか?」



ふぅ、と息をついた。


そしてそのまま言葉を続ける。



「俺はもう人の女に手は出さねぇ。…まぁ、隙があれば奪うけど」



最後は小声で。

そして、



「だから俺は殴ってねぇよ」


「……え?」



澪和は一瞬耳を疑った。

西条が…殴ってない……