「ねぇねぇ!氷蓮のお姫様、顔が痣だらけだけど、よく見ると可愛い顔してるよー?僕、この子が刃龍のお姫様になってほしいなー!ねっ、栞ちゃん!」




可愛い口調で話すのは幹部の金井 李玖。




「うん!一緒に姫やりたい!…氷蓮の人達って女の子でも関係無しに顔、殴っちゃうんだね…。噂でも男も女にも容赦無いって聞いてたけど、噂は本当だね。…氷蓮のこと、もっと嫌いになった。」



氷蓮の姫を手当てしているのが俺らの姫、桜庭 栞。


刃龍の姫だが、蒼汰の彼女だ。


副総長の彼女は総長の彼女と同じくらい危険が伴うため、刃龍の姫になり俺らが守っている。



「手当て、終わったよー!」



「悪いな、いつもありがとう。」



俺が栞と話していると蒼汰が近づいて来る。



「煉!栞と話すの終わり!栞、俺らもそろそろ帰ろうぜ!」



「蒼汰、ヤキモチ焼いたんでしょ!もう〜!煉、また明日ね〜!」



「おう、また明日な。」



蒼汰のバイクに栞も乗り、2人は帰って行った。


すると今度は大地が俺に近づいて来る。



「なぁ、煉。煉は今日、ここに泊まるのか?」



「…そうだな。明日は休日だし、氷蓮の姫が目を覚ますかもしれないしな。」



「そっか…。じゃあ俺も帰るわ。」



「じゃあ僕も大地と一緒に帰る!」



大地の後ろから李玖が、ひょこっと顔を出す。



「そっか、2人とも気を付けてな。」


大地と李玖を見送り、俺は氷蓮の姫の元へ行った。


顔を見ると目から、ひと粒の涙が流れた。



「…なん…で、信じて…くれないの…?」



スースー…。



…寝言…だよな?


コイツ、裏切られたのか…?


…今は考えるだけ無駄か…。



ふと部屋に飾ってある時計を見る。


時計は夜中の1時を指していた。


…とりあえずシャワー浴びて、そろそろ寝るか。


俺はシャワーを浴びた後、ソファーに寝転がり眠りについた。