バイクを、いつもよりゆっくり走らせ19時半頃、刃龍の倉庫に着いた。


氷蓮の姫を抱きかかえ、俺は刃龍の倉庫に入る。



「おい、誰かコイツの手当てをしてやれ！」



俺の声に、下っ端や幹部達が氷蓮の姫の方を見る。


下っ端達は、この女が氷蓮の姫ということに気づいていないようだったが、幹部達は明らかわかっているようだった。



「おい、この女…もしかして氷蓮の姫か？」



副総長の樋口 蒼汰の声に、下っ端達の氷蓮の姫を見る目が変わった。



「煉さん！コイツ、氷蓮の姫なんすか！？」



「なんでこんな奴、連れてきたんですか！？」


下っ端達がガヤガヤし出す。


「うるせぇよ！コイツ、氷蓮の倉庫の前で倒れてたんだ。多分、氷蓮の奴らを裏切ったか…逆に裏切られたかのどっちかだ。普通、姫なら守られるのが当然だろ？なのにコイツの周りには誰も居なかったんだ。」



「煉…もし、この女が氷蓮を裏切ったとしたら、どうするんだ？」



蒼汰が俺に聞いてくる。


「とりあえずコイツが目を覚してから決める。それまで幹部の部屋で休ませておけ。集まってもらって悪いが今日は解散だ。明日、また同じ時間に集まってくれ。」



「煉が決めたなら…しょうがないか…。おい！みんな、とりあえず俺らの倉庫に氷蓮の姫が居ることは他言するな！いいな！！」



蒼汰の言葉に下っ端達は一斉に返事をし、ぞろぞろ倉庫から出て行く。


俺は氷蓮の姫を抱きかかえたままだったので、そのまま幹部の部屋へ連れて行き、ベッドに寝かせた。