緋莉side
昴に電話をしてから、あっという間に1週間が経った。
夜になり、私は煉とバイクに乗って氷連の倉庫へ向かっていた。
煉のバイクを筆頭に刃龍と凰妃の幹部、更にその後ろに下っ端達が付いて来ていた。
「…煉が私を拾ってくれたから…刃龍に入れてくれたから…やっとここまで来れた。煉には本当に感謝してるよ。私のことを信じてくれて…ありがとう。」
「当たり前だろ?まぁ…お前には驚かされっぱなしだがな…。ふっ…。」
「……もう、笑わないでよ!」
「緋莉…俺達の手で氷連を潰すぞ。何があっても俺から離れるなよ。」
「…うん、わかった。」
そう話していると氷連の倉庫に着いた。
作戦は私が先に入り、氷連の幹部達と話す。
その後、刃龍と凰妃が倉庫に入ることになっている。
「…煉!皆!先に行ってるね!!合図するから!」
「あぁ、気をつけろよ!!」
私は煉とニコッと笑い合い、氷連の倉庫に入って行った。
氷連の倉庫に入ると案の定、氷連のメンバーが勢揃いしていた。
「ふふっ…こんばんは。」
「…裏切り者…。お前1人なわけないだろう?早く刃龍を出せ。」
「…まぁ、そう慌てないで?まず、これを聞いて?」
私はそういうとケータイを取り出し、ボイスレコーダーの再生ボタンを押した。
…
「遅いんだけど。あたしを待たせるなんていい度胸だね〜、裏切り者さん♪」
「…なんで氷蓮の皆に嘘をついたの?」
「は?そんなの決まってんじゃん!…緋莉が邪魔だったからだよ。」
「…邪魔?」
「そうだよ!!あたしの方が昴のこと好きなのに!!昴を、あたしのものにしたくて氷蓮からアンタを追い出したの。」
「ねぇ、愛莉。別に昴のことが好きなのは構わないけど、私を氷蓮から追い出したところで昴は愛莉のものになったの?」
「…らない。」
「…え?」
「ならないんだよ!!緋莉が居なくなって、昴はあたしのものになったはずなのに、昴の中からアンタが居なくならない!だからアンタには、まだまだ痛い目にあわせてやる!!」
「ちょっ!!愛莉、何や「やめてー!!!!」
愛莉が叫び出した。
愛莉は震えながら、私の方を見る。
「ボイスレコーダーで録音してたなんて卑怯だよ!!!」
「…卑怯?氷連に嘘をついて私を追い出した張本人が何言ってんの?」
私がそう言うと愛莉はハッとし、周りを見出した。
氷連のメンバー全員が愛莉を見ている。
すると昴が声を発した。
「…愛莉…お前、俺達に嘘をついてたんだな。」
「ち…違う!!」
「違わねぇだろ!!!お前を信じた俺達の気持ちはどうなる!!ふざけんな!!!」
昴が、そう言うと愛莉は泣きながらその場に座りこんでしまった。
そして昴が私に近づいてくる。
「緋莉…悪かった。お前を信じなかった俺達はバカだ。今さら謝っても、もう遅いと思うが…本当にすまなかった。」
昴は私に深々と頭を下げた。
「…あの時、信じてくれてれば…よかったのに…。でももう遅い。私はあんた達を絶対に許さない。」
「緋莉…俺は…お前のことをずっと…忘れられなかった…。だから…俺と…「何言ってんだ、てめぇ!」
煉が昴の言葉を遮った。
昴は煉を睨みつける。
私は煉に駆け寄り、話しかけた。
「煉!勝手に入ってきちゃダメじゃん!」
「…悪い…。このバカ総長に言ってやりたくてな。」
「…おい、バカとはなんだよ!」
「今さら、お前のところになんか緋莉は戻らねぇんだよ!!!緋莉は俺のもんだ!!!」
「…なに…?」
「今の緋莉の彼氏は俺だって言ってんだよ!!!」
昴は私の方を見る。
「…緋莉。本当か…?」
「本当だけど?ふふっ…あんた達に、もう1つ教えてあげるよ。」
私が合図をすると刃龍と凰妃のメンバーが氷連の倉庫に入って来る。
「おい、緋莉!なんで凰妃まで居るんだよ!!」
「なんでって?私が凰妃の総長だからだよ!!」
私はそう言うと昴を睨みつけ、オーラを全開に放った。
昴は私の言葉と、その様子を見て驚いている。
「…お前が…凰妃の総長だと…!?」
「…そう。さぁ、皆!!行くよー!!!」