私は氷蓮を追い出されたんじゃない。


自分から抜けたんだ。


そう思い込むようにした。



煉はバイクを停め、降りる。


私も続いてバイクから降りた。


周りを見ると、そこは大きなショッピングモールがあった。



「煉、ここで何買うの?」



「…あ?お前の服に決まってんだろ。」



「…え?私の服?」



「家に帰りたくねぇだろ?」



「うん…。愛莉に会いたくない。」


そう言うと煉は歩き出した。


私も後ろから付いて行く。


それから沢山のショップに行った。


煉は私の服を全部買ってくれた。


煉は普段、バイトをしているらしく結構稼ぎがあるらしい。



「煉、服買ってくれてありがとう。…下着まで買ってもらっちゃって…何か悪いよ。」



「あぁ。…あ、緋莉…お前やっぱり胸デカかったんだな。」


「…!!!あー!!!サイズ見たでしょ!!見ちゃだめって言ったのにー!!!」



「見えちゃったんだから、しょうがねぇだろ!」



「だから下着は自分で買うって言ったのにー!!!」



私は恥ずかしくて顔が真っ赤になっていた。


その様子に煉はクスクス笑っている。



「緋莉…お前、俺のアパートで一緒に住め。行く宛、無ぇんだろ?」



「うん、無いけど…。いいの?」



「あぁ。」



「…ありがとう。あ!じゃあ服のお礼もしたいし、私、煉のアパートで料理作るよ!」



「…料理できるのか?」


「うん、作れるよ!」



それから、また煉のバイクに乗り、煉のアパートに向かった。


煉のアパートは綺麗に片付いていた。



「緋莉。今日の夜、刃龍の倉庫に行くぞ。お前をどうするか決める。」



「どうするって…?」



「緋莉…お前、刃龍の姫になれ。」



「…え?」



まさか刃龍の姫になれと言われるとは思っていなかった私は少し驚く。



「…煉。刃龍には姫は居るの?」



「あぁ、1人居る。」



私は昨日のことを思い出す。


また氷蓮と同じことがあるかもしれない…そう思ってしまった。


私の体は気付かないうちにガタガタ震えていた。


それに気付いた煉が、そっと優しく抱き締めてくる。



「緋莉、大丈夫だ。刃龍には、あんなことをする奴は1人も居ない。だから安心しろ。」



「…うん。…でも考えさせて…?」



「あぁ、もちろんだ。俺らは、お前がどういう答えを出したって、あんなことは絶対にしない。約束する。」



「…わかった。」



私は、そのことを考えながら煉と1日過ごした。


煉と話をしているうちに、少しだけ煉のことがわかった気がした。



…もう一度だけ人を信じてみよう…。


何故か私はそうに思えた。


それからある決断をした。


自分の出した答えに、刃龍の人達は納得するかはわからない。


でも、それが私になりに考えて出した答え。


刃龍の人達が、それを聞いてどう思っても私は私の考えを貫き通すと決めた。



「緋莉、行くぞ。」



「うん。」



煉の合図で私はバイクの後ろに乗り、バイクは走り出した。