カレンダーに黒ペンでペケをつける手の速さが止まらない。


気づけば、夏休み最終日。


この夏は初めての彼氏と、ちょっと刺激的な夏を過ごした。


楽しい時間はあっという間だから、寂しさが押し寄せてくる夜に。


ベッドに潜って、耳に当てている携帯の熱が
電話している先輩の声の熱さと勘違いしてしまいそうになる。



『天沢ちゃん、絶叫系苦手なくせに。
 ジェットコースターに乗ろうって誘ったら、強がって乗ってたよね』



8月中旬ぐらいに行った遊園地の思い出話を、懐かしむ先輩。


絶対に避けたかったジェットコースター。


でも先輩が「こんなのも乗れないなんて、おこちゃまだね」って煽ってくるんだもん。


意地になって乗ってしまえば、すべて先輩の思惑通り。




しかも「まだまだイケるよね?」って二回も乗らされたし。



分かってたけど……この人悪魔だよ。