ザァー……ザァー……と心地よい波の音と
何処(どこ)からともなく聞こえてくる、カモメの鳴き声。


青い空、青い海。


太陽の暑さが、私を溶かしてしまいそう。



でも、そんなものよりも。



「天沢ちゃん、ちゃんと日焼け止め塗った?」


太陽の光なんかで目を細めている場合じゃないくらい。

隣で青いビーチパラソルを立てているミア先輩の水着姿の方が眩しいから

綺麗なさらさらとした砂に穴を()って、自分から埋まってしまいそうな勢い。




「日焼け止め!塗りました!!」


「ふーん、つまんなっ」


「えっ」


「俺が塗ってあげたかったのに」


「!?」


言いながら、降参(こうさん)ポーズで手のひらを見せてくる先輩は、ケタケタと笑って、私をからかっている。


海に来ても、先輩が意地悪なことに変わりはないみたい。



熱くなる顔が今赤くなっていることを私は知っている。



それも全部……ミア先輩のせいだね。