ゆっくりと近づいてくる先輩の顔。


がっしりと掴まれている手首は、緊張で震える。


それでも先輩は、私のそんな緊張さえも無視して。



ーーカプッと軽く、首筋を甘噛みしてきた。



「明日の海、楽しみだね~。アマサワちゃん」



言いながら、私から離れるア先輩は。

やりたいことだけやってって、試着室から出ていった。



ふと、鏡を見ると、自分のマヌケ顔が映っている。


でもそんなこと、今はどうでもいい。


首筋につけられた、小さな赤に染まった歯形。


その部分をすぐに手で押さえると、やってきた羞恥心が私を襲う。



「~~~っ!!
 ミア先輩のバカーーー!!」



小さな試着室でそう叫んだら、すぐに店員さんがやってきて、怒られた。


その時ミア先輩は、他人の振りしてクスクス笑っていたのは言うまでもない。







……ほんと意地悪だ。