ふと、部屋の出口を見ると、鮮やかな紫色の花の絵が飾ってあった。 「……桜?」 思わず口にしてしまった私を見て、司君は楽しそうに笑う。 「これを見て桜って言う人、初めて見たよ」 どうやら紫の桜ではないらしい。 「藤の花だよ」 そっか。 藤の花というのがあるんだ。 司君、さすがよく知ってるなぁ。