見慣れたその空間は、見慣れたテーブルと、見慣れぬ花で溢れていた。

白いクロスで覆われたテーブルの上には、白と赤をメインとしたはっと目を引く原色の花。

和風で、それでいてモダンで、まるで映画の一場面のような非現実的で美しい光景が広がっていた。







実は昨日、家に帰ってから『桜庭司』を検索した。

出てくるものは、現実離れしたスタイリッシュなフラワーアレンジメントだった。

その作品に舌を巻き、見惚れ、不覚にも胸を焦がした。

飛ぶように時間が過ぎ、気付いたら明け方になっていた。




だけど……

今日目の当たりにしたこの部屋の装花は、昨日見たどの作品よりも胸を締め付け、目が離せなくなるものだった。

写真と実物とでは、感動が違うのだろうか。