ホテルのカーペットの上を歩く足が震える。

胸がドキドキする。

そんな私の隣で、由希さんは桜庭司の装花への期待に目を輝かせている。




由希さんに言わなきゃいけない。

昨日会ったイケメンは、ただの知り合い。

彼は桜庭司だと。

だけど、そんなこと言う暇もなく……




「あ!あの女優、知ってる!!」




由希さんはそう叫ぶなりどこかに行ってしまって……

何も考えず大広間の扉を開けていた私は……その世界に見惚れていた。